加勢君の送り


*イクルーシブデザイン・ワークショップでの加勢君=中央(2006.3.8)


福祉作業所「工房まる」に通う加勢剛君の葬儀に参列。享年28歳。セレモニーホールは、筋ジストロフィーをおして彼が描いた絵の数々や、生きし日々の写真が、まるスタッフの手によって見事に展示されていた。笑いと涙、思い出と作品に包まれた、悲しみとともに暖かい気持ちでいっぱいの式であった。
個人的には、工房まるを訪問した時にたまに言葉を交わすぐらいの関係でしかなかったが、シャイな面持ちや、おしゃれなファッション・センスが強く印象に残っている。また、ユーザーサイエンス機構主催で開催したインクルーシブ・デザインワークショップで、大学生たちとともに、はきやすい靴のデザインについて共に議論し提案にまでまとめていた時の彼の喜びにみちた顔が目に浮かぶ。
お通夜で、そして葬儀で、彼とともに生きた仲間たちは口々に「わが身をさておき、周囲の人間に人一倍、気配りをするやつだった」という思い出を口にした。
今さらながら、この世において、生きた証として残せる、もっとも大切なものは、小さな「記憶」においてないことを思う。加勢君の冥福をお祈りします。
合掌。