プロレス復活

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しおらしく、闘争心が殺がれたのではと紹介したクリのその後であるが、当方の誤算だった。手術から4日目あたりから、クリとのプロレスが完全復活した。むしろ、格闘技としてのプロレスのレベル(笑)が以前より上がったような気がする。カキの得意技(挑発と噛み)とクリの得意技(突きと噛み)のぶつかり合いが、終日繰り返されている。しかし、しばらくすると、プロレスにも飽き、何事もなかったかのように、平和な二匹に戻っている。その様をみながら、ほっとしているところだ。個性の違いをかかえつつも、基本的には中のいい二匹である。
カ・キにとって、プロレスはあくまでも遊びである。クリの突きと噛みも、闘争心から出てきたというより、文化の行為としてみてあげたほうがいいのかも。プロレス(格闘)というかたちで緊張関係をつくりだし、平和な状態にす、そしてまた緊張関係へ、、、、。退屈や凡庸という、生命にとっては一種の危機から抜け出し、相互の関係を活性化させようとしているのか。あるいは、闘争心という自然を自ら手なずけ、沈静化させるための儀式か。いずれにせよ、限られた条件のもとで、ヒトもまねできない、なかなかに高度なことをやっている(笑)。二匹だからこそ、こうしたゲームが成立し、ストレスも軽減される。カ・キの光景に接していると、二匹まとめてで本当によかったとしみじみ思う。
さてさて、しばらくの間はプロレスごっこでクリの体力と気力を戻させた後に、お気に入りの浜辺に連れだすことにしよう。「泳ぐ犬」というクリの個性が人工によって変化していないことを祈るばかりだ。