イノシシとウミガメ


このところ散歩といったら、夜明け前の星のもとばかり。そこで休日でお天気の今日はひさしぶりに太陽のもとにカキとクリを連れ出し、1時間以上の大サービス。
クリの海好きは相変わらずで、一走りして体が熱くなると、海に向かって突進。じゃぶんと入ってクールダウンする。もうすっかり芥屋海岸の「名物」だ。カキのほうはというと好きとまではいかず、クリにおつきあいして汐遊びといった程度。
浜辺の後は「とっけん生水」に向かった。驚いたことに、生水の水をうけた溜め池の水が透明になり、満面の水をたたえている。しかも、水が少なかった時にはえていた草が水底に透けて見え、不思議な雰囲気を醸しだしている。水源の「とっけん生水」のほうも、透明な水がきらきらと光っていて、とても綺麗だ。霊水としての蘇りに、大いに期待がもてる。
 *とっけん生水→ http://d.hatena.ne.jp/rakukaidou/20070303
気分をよくして、「さぁ帰るぞ」と言った矢先のことだ。近くに仕掛けてあった罠にイノシシがかかったらしく、農家の人による獲物の収穫作業にたまたま立ち会うことになった。近くに寄ってみると、まだ半年なるかならないかの子イノシシである。お一人が柵に入り、イノシシを手際よく押さえて、用意してあった袋へ。袋ごと柵外にごろんと放り出されたイノシシは、しばらく袋のなかでごそごそ。カキは怖じ気づいて近寄らなかったが、クリは警戒しつつも接近してチョッカイをかけた。こいつ、同じ生きものでありながら、食用に供される(といっても、半年くらい飼養しないと脂がのらないので食用にはならないという)イノシシとの運命の差を感じているのかいないのか(笑)。
イノシシを後にして、今度は黒磯海岸へ。そこでステンドガラス作家の小森さんにお会いし、しばし立ち話。大きなウミガメの亡骸が海岸にあがっているという。早速ご案内いただき、ウミガメのもとへ。たしかにデカイ。体長1メートルはあろうか。今までみたなかで、間違いなく最大だ。死期をさとり、海岸までやっとのことでたどりついたのであろう。腐食が始まっている顔や首をみると、万年とまでいかずとも相当の歳であることがうかがえた。しかし、カキとクリはというと、高齢カメさんへの畏敬の念はこけらも感じないようだ。彼らにとっては、巨大な甲羅といっても、そこいらの岩となんの変わりなく、無関心を決め込んでいた。
トッケン様とイノシシとウミガメと、生と死の不思議な巡り合わせに出会えた朝の散歩だった。カキとクリのおかげである。