学生たちとご近所ウォーク

今日の海岸ゴミ掃除には学生4人が来てくれた。聞くと、昨晩、研究室で鍋パーティをやり、朝まで騒いで、そのまま徹夜してやってきたとのこと。若い連中はさすがに元気だ。
そして、3回参加のご褒美ということで、ゴミ掃除が終わってから我が家で朝ご飯をご馳走した。食卓を囲んでしばし雑談した後、芥屋の昔ながらの集落を案内しようということで、4人を散歩に連れ出した。

最初の案内ポイントは、峰組の集会所とお堂である。28戸という小コミュニティーでこれだけの集会所とお堂をもっていることに一同驚いた様子。


そして、小道をつたって芥屋のかつての背骨でもある旧道(地元では「下道(したみち)」とよんでいる)に降りていった。緑の生け垣をぬける小道の優しい曲線に「これって、いいなぁ」。

そして、天神地祇 諸災解除 八百万神 組内安全の文字が書かれた結界札や地蔵さんの立つ下道が、ゆったりとした感じで集落の家々をこれまた曲線でつないでいる様に、「懐かしい、何かホッとする感じだよねぇ」。



しばらく歩くと、海岸と下道をつなぐ緑のトンネルが潮騒を運び、日差しをうけて木の葉が輝いている場所へ。「沖縄かどこかの島みたいやね」。

そしてこれが芥屋区の公民館。完全な自治公民館で、もうじき役割を終えること、農作物集荷場(現在は使っていない)と神社が一体となっていることなどを説明。「これってよく映画に出てくる建物と一緒やん、いいなぁ〜」「このまま使ったらいいのになぁ」。

下道を左に曲がり、海鮮バーベキューの朝日水産に立ち寄って、おカミさんに学生たちを紹介。砂地の海水プールの中のアワビやサザエに、「ほら、見て見て」。


最後の案内ポイントは、この27日に落成式を迎える、芥屋区の新公民館。新旧のあまりの差に驚いた様子。

4人の属するのは都市計画の研究室。彼らがふだん扱うのは直線の道路で区画されたエリアや、近代的な建物や景観ばかりであろう。そうしたこともあってか、何十年か前にタイムスリップしたような集落景観との遭遇は、異次元空間に入りこんだ感覚だったようだ。もちろん、今どき珍しい雰囲気を味わせてあげようということで誘い出したのだけれど、予想以上の反響に内心ニンマリであった。
4人とも見るからに都会育ちである。しかし、昔なつかしの集落のたたずまいが発散する何とも表現しずらい「よさ」や「心地」を、皮膚で感じ、身体(からだ)でわかってくれた。いい感性を持っている! 朝ご飯をご馳走した甲斐があったというものだ。望むらくはこれからの研究で、身体で感じとった「懐かしさ」を、それはなぜ? 何なの?と問い直し、言語化してほしい。そして、古きよき日本の文化遺伝子との出会い直し、原点的な感覚への回帰が、未来志向、新たな価値デザインの起点になりうることに気づき、知的な確信としてつかみ取ってほしいと思う。しかし、一度にそこまで期待するのは無理かもしれない。また、朝ご飯をご馳走するしかなさそうだ(笑)。