ひさしぶりの玖珠

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15年ほど前に、総合計画づくりのお手伝いをしたことが縁で、玖珠町とはおつき合いが続いている。縁とは不思議なもので、すぐに切れてしまう場合と、細々でもつながる場合がある。玖珠町には、総合計画づくりの担当課長であった日隈紀生さん(現助役)の紹介で、玖珠インターそばの農家の空き家をお借りし、友人7名で「玖珠山荘」として使わせて頂いている。ところが、いずれも多忙な仕事をかかえる人間であることもあって、このところ山荘ライフを楽しむ機会がなくなっていた。
こうした折、日隈さんのほうから「玖珠町メルヘン大使」になって、町の宣伝や地域づくりへの助言をお願いできないかというお誘いを頂き、「これは断れないな」ということで、休みをとってメルヘン大使委嘱式に参じたという次第である。玖珠町と都市・農村交流を続けてきた福岡市・長住商店街の飯盛利明さん、声楽家・作曲家の岩崎記代子さん、久留島武彦研究家の後藤惣一さん、プロデューサーの宮木初雄さん、タレントの穴井夕子さん、そして私の6人の「大使」である。
「大使」となるのは、もちろん生まれて初めてだ(笑)。光栄至極である。けれども、「メルヘン」とつくと、光栄を通りこして、むずがゆさがついてまわる。しかし、ありがたいお誘いなので、かゆさに耐えながら(笑)、その任を全うしていきたいと思う。どこかの国の大使と違って、報酬については「報酬は、無報酬とする。ただし、年に数回の町特産品を送る」と、極めて明快で潔癖なところがいい。
委嘱式・意見交換会の後は、農家民泊もできる「大分県 さかもと村」で、村長・坂本健一さん自作のお米やそば、味噌、山草などをふんだんに用いたおいいしい料理を頂いた。台地の上のカイコ小屋を改造した囲炉裏レストランで、水をはった棚田や里山をながめながらの、気持ちのいい一時であった。
玖珠町は「日本のアンデルセン」と讃えられた口演童話家、久留島武彦の故郷であることにちなみ、昭和25年から毎年「日本童話祭」を開催してきたことから「童話の里」としての地域づくりを行ってきた町である。
けれども、「童話の里」の一般的な認知度は低く、湯布院と日田に挟まれてるなかで、「玖珠ってどこ?」といわれることがしばしばである。ちなみに、玖珠町のJR駅は「豊後森」である(これも、認知度が低い)。
いずれにせよ、宣伝担当大使としての仕事には、知恵が試されそうだ。
しかし、たちこめるモヤモヤ突破の可能性をひめたグッドニュースとして、豊後森駅構内の「機関車庫跡と周辺用地」がこのほど、JRから町に払い下げられたという。今にも機関車の汽笛や聞こえ、蒸気や石炭のニオイが伝わってきそうな、イマジネーションをそそる素敵な歴史遺産である。大使の仕事としては、まずは「機関車庫」の活用を考えることから始めることにしよう。来週にも再度、ユーザーサイエンス機構の目黒実さんとともに町を訪れ、日隈助役や河島商工観光課長などと活用策について意見交換をする予定だ。

http://www.town.kusu.oita.jp/