焼き肉屋の怪

しすい会の例会の懇親会で、久しぶりに焼き肉屋へ。歳を重ねるとともに、肉はあまり口にしなくなった。けれども、たまの焼き肉はやはりココロが踊るものだ。ビールの後の手順が悪く、肝心の肉がなかなか出てこず、多少イライラしたものの、久しぶりの肉はやはり旨かった。
問題は、終盤近くのお店とのやりとりである。幹事さんの注文が多すぎたためか、かなりの肉が余ってしまい、テーブルの一同「ふぅーッ、もう喰えんバイ」とため息。それじゃ「もって帰ろう」ということでパッケージが欲しいと言ったその後が良くなかった。「お肉はお持ち帰りいただくわけには参りません」というのだ。ただし、焼いて持って帰るぶんには構わないと言う。
「もったいない」は日本人の美徳。「残ったら持ち帰る」のどこが悪い! 生肉で持ち帰ろうと焼いて持ち帰ろうと余計なお世話、ワシが決める! と腹がたって半年ぶりの焼き肉の幸せ感が吹き飛んでしまった。「責任はワタシが持つからいいではないか」と言っても「そういうわけにはいきません」の一点張りである。食べかけの焼き肉が“ヤケ肉”状態となってしまった。
もちろん、お店の側にも、生肉を持って帰らせ、中毒事件が発生したら営業停止になりかねないという不安があるのはわからないでもない。だったら、鮮度保持ができるようビニールに氷を入れてパックに入れるということもできるではないか! たとえ、お客の鮮度管理のまずさで何か事が起きても、「知ったこっちゃありません」と言ってしまえばいいだけの話ではないか! ここは、乙にすましたホテルじゃなくて庶民感覚の焼き肉屋でしょうが! 
店を出て、我々が帰った後、あの肉が捨てられたのかと思うと、またしても腹が立ってきた(笑)。「法」や監督官庁へへの説明責任(なんかあった時の言い訳)を優先するか、もったいないという「世間の常識」をとるか、である。
役所の掟がはびこる「いきすぎた法化社会」はロクなことがない。
家に戻り、そんなつまらないことに腹を立てなくてすむにはどうしたらいいか、酒気帯びながらじっくり考えた。結論はカンタンなものだった。「残さなくてすむだけの量を注文する」、この一点である。「天神ホルモン」さん、ご免なさい(笑)。