焼酎ルネサンスと博多織

(株)ルネサンス・プロジェクトの中村鉄哉さん、博多織「千年工房」の岡野博一さんと一緒に昼食をとりながら、様々な話題で意見交換。
中村さんは、この数年の焼酎ブームの仕掛け人。M物産九州支社時代に、地場産業の活性化につながる仕事をしたいということで、九州各地の蔵元を丹念に歩きまわり、志を共有できる経営者とともに焼酎の新しいブランドを次つぎに開発し、それまでと全く異なる販路で、九州の焼酎を福岡、東京、そして海外に広めていった、いわば地域産業おこしプロデューサーである。M物産の取扱高は最終的には20億円にまで成長していったが、100億・1000億単位の商社ビジネスの常識からすれば、20億というのは“ゴミ”みたいなもの。ブーム当初は、地域産業に貢献する総合商社の新しいありようとして社会的にもアピールし、お目こぼしをうけることができた。けれども総合商社にとってこうしたマイクロビジネスを続けるのは組織的にも論理的にも難しい。当然のことながら、中村さんとM物産とのせめぎ合いとなり、中村さんは最終的にはこの3月でM物産を退社し、4月にルネサンス・プロジェクトを立ち上げられたというわけだ。そして現在、M物産時代に開拓された蔵元とともに、地域の文化産業である焼酎のルネッサンスにまさにパワー全開、全力投入されている。
地域の産業活性化につながる仕事をしていきたいという思いを“解放”する道を選択された中村さん、いやはや元気元気。魅力的な経営者の出現は嬉しいことこの上ない。中村さんにとって、焼酎はあくまで起点/切り札である。今後は、それを出発点に顧客とのアクセスポイント(店舗)の展開、食や農にかかわる新規事業・新商品の開発と、様々な領域でルネンサンス(革新)を仕掛けていきたいという。
もちろん、博多織をはじめとする伝統工芸とのコラボレーションもぜひ追求していきたいということで、岡野さんを紹介することとなったというわけだ。じつは、この6月、福岡市と仏ボルドー市との姉妹都市交流事業の一環で、ボルドー・ワイン・フェスティバルにおいて、福岡市・県の物産が出展・紹介されるが、そのコーディネートをルネサンス・プロジェクトが担当し、「サムライ焼酎」がフランスの人々にお披露目される予定となっている。そして、その「幟」を千年工房の博多織でつくりたいということで、それを現在、岡野さんの工房で製作中である。実際の取引のほうが先に進み、中村さんへの社長である岡野さんの紹介が後になったこともあり、会食をしようということになったという次第である。
こんなふうに、小さな点と点がつながり、線から面へ、面から立体へと発展していくのに立ち会い、ささやかなお手伝いができるのは楽しいものだ。

*焼酎ルネサンス・プロジェクト http://www.maborosi-shochu.com/
*博多織 千年工房 http://www.1000art.co.jp/gaiyou.html