名無しの居候猫

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6月にポチが急死してから(2006-06-12)、我が家ではしばらく動物がいない状態が続いていた。これは珍しいことだ。これまで20数年にわたり、大型犬が飼い主を探して欲しいと持ち込まれたり、子どもが捨て猫を拾ってきたり、迷い猫が居着いたりといった具合で、我が家には必ず何らかの動物がいたからだ。「犬+犬」「犬+猫」など、ダブルも珍しくなかった。福岡市内から芥屋への引っ越しの際にも、亡くなったポチと捨て猫出身のミー(ポチに先立つこと半年前に亡くなった)の2匹を連れてきた。
ところが、我が家が動物不在の家となったことを察知してか、ペルシャチンチラの野良化した捨て猫がどこからかやってきて、最近、家に居着き、てんとして他所に転ずる気配がない。犬よりもどちらかと言えば猫好きの私としては、この来訪者の出現が嬉しく、少しずつ手なずけている状況だ。カミさんはというと、ポチなき後は気分的にちょっとナイーブで、「動物を飼うのは責任が発生するので、今更ちょっとねぇ」と慎重な様子。
しかも、我が家で起居する姪がアトピー症であることもあって、家の中には入れず、エサをもらいながら、外のデッキ暮らしとなっている。けれども、まだ名前がついてない。というか、名前を付けられないでいると言ったほうが正確である。付けると、付かず離れずの今の微妙な関係が崩れることになりそうで・・・。とは言うものの、当初は非常に警戒心が強かったのが、しだいにすり寄ってくるようになると、ついつい「ミーちゃん」(先代の名前)とか「ミーシャ」(20年程前の飼い猫の名前)とか呼んでは、収まりのいい名前を探している自分がいるから不思議だ。
いつまでこの状態が続くかわからないが、名前のついてない猫との曖昧なコミュニケーションは、互いに相手(雌猫である ─ 笑)の心を探り合っているようなところがあって、案外面白い。この猫、生まれつきの野良猫でなく、ペットとして飼われていたのであろう、結構人懐っこいのだ。このところ毛づやや体格がしっかりしてきたこともあって、「そのうち洗ってあげよう」という気になっているが、「余計なおせっかい、やめといたら」という冷ややかなカミさん発言との葛藤にいまだ決着をつけきれないでいる。