暑気払いで沖縄談義盛り上がる

田村馨さんの誘いで暑気払いを敢行した。道連れとなったのは、同僚の加藤完治さん、それからたまたま電話をかけてきたために網にかかってしまった小串華奈さん(博多織作家)である。場所は、田村さんの指定で韓国庶民料理「漢陽」、18時集合である。これまで数度突撃し、ヤンコブチャン(丸腸と牛ミノにじゃがいもを混ぜた石焼き鍋)とマッコリがクセになってしまった店だ。石堂川の川のたもと、千鳥橋からちょっと奥に入り、店の敷居をまたぐと、いつものことながら懐かしいニオイが歓迎してくれる。
暑気払いの主題(酒をのむのに別にテーマは不要であるが ─ 笑)は、最初から最後まで沖縄であったように思う。「思う」なんて心もとないのは、「朝鮮人参入りマッコリ」をしこたま飲んだために、幸せホルモンが出過ぎてしまい、記憶が定かでない。田村さんは結構覚えているようだが、本当だろうか(笑)。
主題提供者は、加藤・小串のご両人である。二人とも沖縄県立芸術大学の卒業生(2期生と3期生)で、同じ時期に沖縄暮らしをしていたこともあり、あの人、あの店、あの先生の話がポンポン出てきて、沖芸キャンパス復活の様相であった。おまけに、加藤さんのヨメさん(沖芸OG)と小串さんが昔、仲良しであったことが判明し、「世間は狭い!」とマッコリ速度が5割方上がってしまった。
そして、沖縄談義である。よく言われる沖縄社会の「濃さ」について、いろんな話が飛び出した。住んだ者でなければ分からない面が多々ありそうだなぁ、との思いが募った。いわく、沖縄に行って真っ先に驚くのは沖縄独特の時間の流れだという。18時集合と約束しても、沖縄では誰も来ない、1時間遅れよても、「沖縄では約束時間が来て家を出たも大丈夫」と悪びれる風がないそうだ。いわく、沖縄の若者の間では、「ブラジルにおばさんがいるので、そこで仕事をみつけようかと思う」といったやりとりがごく普通。沖縄の人たちの最初からボーダレスで、世界中に根をはっていった華僑の行動様式と重なるねぇ。でも、ウチナンチューとヤマトンチューの間の明確な線引きは、やっぱりつらくて、卒業後は沖縄に留まる気になれなかったもんねぇ・・・
そうか、そうか、と頷きながら、最近、沖縄が現役引退後のみならず若者にとっても移住のメッカとなっていることが気になってきた。そのことに話を向けると、ご両人とも「沖縄の社会に溶け込むのはなかなかタイヘンですよ」。グーグルで「沖縄 移住支援」と入れてみると、27万件もヒットしてくる。これはもう異常なブームである。沖縄の人々の「濃い社会」と外来・ヤマトンチューの一方的な「熱い期待」とは多分いろんな摩擦をおこしているのではないだろうか。加藤さん、小串さんの経験談を聞きながら、2つの世界のズレについて、マッコリ脳で考え始めたところで、いつもの通り「そろそろお時間」となってしまった。
いずれにせよ、二人のお陰で、久しぶりに沖縄を身近に感じることができた一時であった。そう言えば、沖縄にはもう10年以上行ってない。俄然、大好きな慶良間の海が目に浮かんできた。

*漢陽 → http://www3.coara.or.jp/~osaosa/umai/kankoku/kanyou.html
沖縄県立芸術大学http://www.okigei.ac.jp/
*田村馨さんブログ → http://blogs.yahoo.co.jp/kaorutamu/39930942.html