玖珠からの贈り物

昨日、玖珠町から食材セット「かーちゃんの店のスローフードな贈り物」が届いた。「報酬は、無報酬とする。ただし、年に数回の町特産品を送る」という、メルヘン大使要綱にそってお送り頂いたものであるが、段ボール箱にはうれしい品々がたくさん詰まっていた。
盆だんご用のだんご粉ときな粉、ほししいたけ、生みそ、鉄火みそ、梅干し(南高)、ゆずごしょう、かりんとう、しょうゆ。玖珠町生活研究グループの“かあちゃん”たちが、くすまちの農産物をもとに手作りで作った「ふるさとの味」である。いずれも、製造者の名前と連絡先が明示していあり、一切の添加物を使用していない安心・安全の品々である。大事に“かあちゃん”たちの手の温もりを味わうことにしよう。
それにしても、「かーちゃんの店のスローフード」とは、なかなかうまいネーミングである。スローフードというと舶来のすました感じがあって、日本の田舎暮らしの雰囲気がどうも伝わりにくいなと常々思っていたけれど、“かーちゃん”がくっついただけでぐっと親近感がまし、作り手の顔や手が浮かんでくるから不思議だ。洋モノであれ何であれ、自分の土俵に取り込んでしまい、文化として吸収してしまうしたたかさは、日本の十八番(おはこ)だなぁと改めて感心してしまった。別段気取ることなく、そんなことがさらりとできてしまうのも、生活の基本というか幹がしっかりしているからであろう。
それから、品々と一緒に送られてきた「広報くす 8月号」をめくると、町内23戸の農家が北九州市板櫃中学校の生徒たちを2泊3日で農泊体験学習として受け入れたという記事が載っている。その中に、農泊部長 宿利忠明さんの「農家体験受け入れを終えて」という文章があるが、簡潔に農泊体験の意義と本質にふれる内容が書かれているので、紹介しておきたい。


板櫃中学校2年生を受け入れて、子どもたちは、素足で田んぼに入り、生き物(カエル・おたまじゃくし・イモリなど)を見つけては喜んでいました。また、夜の暗さ、静けさ、緑の多さ、田舎の風景に驚き、鳥の泣き声、螢に感動していました。この体験が子どもたちにとって少しでも役に立てば、そして生きてゆく力になればと思います。また、なんでもない風景に感動する姿に、この自然を守り続けていかなければならないと改めて思いました。


都会では体験できない、田舎の自然のなかでのしっかりした生活ぶりや「なんでもない風景」こそが、今の子どもたちにとっては「生きる力」の源というか原体験としてとても重要なものとなってきている─。
さて、こんなにたくさんの贈り物に、どんなお返しができるか、「無報酬 メルヘン大使」の有難く贅沢な悩みが始まる。


*童話の里 玖珠町http://www.town.kusu.oita.jp/