哀しい酔客


呑んで何が哀しいかと言えば、電車の乗り過しだ。今回は、気がついたら筑前前原駅から5つ目の「大入(だいにゅう)駅」であった。無人駅である。23:30着なので、まだもう一本くらい戻りの便があるかと思い、反対側のホームに向かうが、前原方面行きの最終便は、22:22。最終便はとうに去った後であった。
仕方ない。いつものことだ。タクシーのお世話になるしかない、ということで愛用の「コープタクシー」に電話。「30分前後かかります」とのこと。これも仕方ない。
しかし、よくしたもので、無人駅の前になぜかセブンイレブンがある。暇つぶしにカップ麺を食べることにした。そこで日清の坦々麺を求め、レジわきのポットでお湯をいれ、店の外の車止めにすわりこみ、3分待って、「今どきの若者」風にずるずるとかき込み始めた。でも人っ子ひとりいない駅の前の、この明るさはじつに奇妙だ。店と駅の間には国道202号線が走っているものの、たまにトラックが素通りすぎる程度。映画のワンシーンになりそうなシチュエーションだなと思うと、けっこう楽しくなってきた。そこで、食べかけのカップ麺を置き、撮ったのがこの一枚である。
カップ麺を食べ終わり、再び店に入り求めたウーロン茶で一服したところで、コープタクシーの到着である。運転手はいつもお世話になっている中村さん。「行き先を告げる必要もなく、「ついつい寝過ごしまして」と弁明しながらクルマに乗り込んだ。大入 ─芥屋のタクシー帰還は初めてであるが、思った以上にメーターが上がる。その心理を見透かされたのであろう(笑)、家から2キロ手前くらいのところで、「4,000円になりましので、メーター止めておきますね」と有難いお言葉。なお、この優しい中村さんには、途中、「中村さんの指名で、○○に△△さん」という無線が入った。その無線を後ろで聞きながら、他人事とは思えず、「いい話やなぁ」と嬉しくなり、家に着く頃には後悔と反省の念がすっかり失せていた。

それはいいとして、今年に入ってからの「哀しい帰還」の実績は、大入以外にも、西唐津2回、博多1回を数えることとなった。博多の巻は、家路方向のどこかの駅(笑)から熟睡で折り返し、気がついたら、正確には起こされたら、最終・終着駅の博多だったというシロモノである。これから忘年会シーズンに向かうにつけ(まだだいぶ先か)、対策を講じないとエライことになりそうだ。