蒼天へのライズアップ

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歯医者からの帰り道、フロントウィンドウの前に広がる青空で、いくつものパラグライダーがふわりふわりと気持ちよさそうに浮遊している。その何とも言えない雰囲気につられるように、クルマを止め、カメラで追いかけた。しかし、距離がありすぎて、どうもうまくいかない。そこで、飛び立ちのポイントがある浜辺(幣の浜)まで下りていくことにした。
数にして、10機くらいはあろうか、潮風を受けて舞い上がったパラグライダーが、目の前そして頭上で蒼天を悠々と舞っている。思わず、「い・い・なぁ、オレも飛びたいなぁ」。幣の浜は、パラグライダー、ハングライダーの恰好のポイントで、学校があることも知っていたが、こうまじまじと見るのははじめてだ。
折よく、浜に来るまで乗りつけ、トランクから機材一式を下ろそうとされている、齢50過ぎの男性に遭遇。早速、元調査マンの習性としてヒアリング開始である。それによると、(1)一度始めたらやめられないこと(この男性、昨日は鹿児島まで浮かびにいったとそうだ)、(2)学校で半年くらい訓練すれば飛べるようになること(授業料は5〜6万円)、(3)羽のあるハングライダーよりパラグライダーのほうが安全なこと、(4)無線を含め機材一式そろえるのに70〜80万かかること、(5)離陸をライズアップ、着陸をランディングと言うこと、等がわかった。
それにしても、志摩町は、このパラグライダーをはじめ、ハングライダー、サーフィン、釣り、ゴルフ、サンデーファーマー等々、遊びのネタには事欠かない。せいぜいがカキとクリとの早朝散歩、土曜日の海岸ゴミ拾い(笑)くらいしかやっていない身からすると、羨ましいというか、もったいないような気がしてきたところだ。
余談であるが、我が家の前の建物に1ヶ月ほど前のことであるが、蛍光塗料で「ライズアップ芥屋」と描かれた看板が登場した。建物の持ち主は、プロの競輪選手で全国を飛び回っておられる大重さん。看板は、大重さんのお手製で、「この建物は以前のコンビニの頃から目印になっていたようなので、そのお役に立てればと描いてみました」とのことであった。じつはその時に、「ライズラップ」の意味を聞き、目印用の看板を立てるというその発想はもちろんのこと、ネイミングもなかなかいいセンスだなぁと感心したことであった。大重さん、将来、競輪選手をやめた後は、この地で何か商売を始めたいとおっしゃる。我が家としては、その日(ライズアップ)を楽しみにしているところだ。後で奥様に聞いた話だが、大重さん、じつはパラグライダー学校で現在、修業中とのこと。大空へのライズアップも、一日もはやく達成していただきたい。