アウトサイダー・プロフェッサー

「一杯やりましょう」という産学連携センターの安達明久さんのお誘いで、いつもの田村馨さん、それから大学評価情報室の加留部貴行ともに「兼平鮮魚店」で談論風発した。この4人、いずれも大学に席をおいているというものの、アカデミシャンとして生きてきたわけではなく、いろんな縁で「たまたま大学の教授/助教授をやっている」という共通項をもっている。いわば、アウトサイダー・プロフェッサーである。安達さんは某政府系銀行から、加留部さんは地元公益事業会社からの出向である。大学と社会の接点をひろげ、大学にマネジメントを定着させるという仕事を担われている。アウトサイダー(笑)としての相互の親近感もあってか、なかなかの盛り上がりとなった。
座の盛り上げ役は、1ヶ月ほど前に着任されたばかりの加留部さんとなった。加留部さんは、企業につとめながら、CSR(社会的責任投資)や、NPO育成というパブリックな仕事に従事され、九大に移られる直前までは、委託管理者として福岡市の外郭事業の運営に従事されていたという。
酒を交わしながら論じ合った主テーマは、「ファシリテーション」と「ワークショップ」。体験・体感を重視した知識創造プロセスが、これからの教育や組織のありようを探求していく上で、分野・領域をとわず重要になってくるという点だ。加留部さんは日本ファシリテーション協会の理事であり、この道20年のプロである。じつは、ユーザーサイエンス機構では、感性と倫理を重視した新しい大学院の構想を検討中であるが、ワークショップという実践的手法や経験のなかで学ぶプログラムを大胆に取り入れていきたいと考えている。その矢先に加留部さんが大学にお見えになったという次第だ。うれしい偶然である。
偶然は最大限生かすべし。アート系ワークショップの関係者等もお誘いして、「ファシリテーション/ワークショップ研究会」を立ち上げませんかと提案したところ、「ぜひやりましょう!」ということになった。元気百倍である。またとない人的布陣を生かして、分析力から構想力へ、論理から行動へ、知識から経験へ、利益から幸福へという時代の変化に向き合い、新しい軸の設定を意識した教育プログラム開発に本腰を入れることにしよう。面白くなりそうだ。

ファシリテーションとは→ 日本ファシリテーション協会ホームページ
  http://www.faj.or.jp/modules/tinyd2/index.php?id=1