承天寺の怒り(6)吉田宏市長「思いは一緒」


 昨日、福岡市長に陳情書を手渡すということで、20名余の関係者で福岡市役所へ。陳情書は下記17団体の連名である。博多区選出の井上貴博 ・新宮松比古の両県議も同行された。
 博多祇園山笠振興会、NPO法人博多の歴史と文化の寺社町ネット、御供所公民館、御供所地区自治協議会、駅前1丁目2区自治会、駅前1丁目3区自治会、駅前1丁目4区自治会、御供所まちづくり協議会、博多町人文化連盟、川上音二郎世話人会、はかた部ランド協議会、博多情緒めぐり連絡委員会、博多織工業組合、博多山笠承天寺清道会、福岡市製麺組合連合会、萬松山勅賜承天禅寺、川上音二郎像建設期成会
 陳情書の要望事項は次の3つである。
 1.建築主に対し、景観形成ガイドラインの規定を厳守し、周辺の景観を配慮した規模に計画を見直すよう強く指導してください
 2.建築主に対し、誠意をもって地元と話し合いをすすめるようご指導ください。
 3.市民の財産である御供所地区の景観を守るため、都市景観条例の強化など、実効性のある景観保全策をご検討ください。
 マスコミ各社がカメラを構える中、博多駅前1丁目3区自治会の野中俊一郎会長が市長に陳情書を手渡された後、30分ほど陳情団と市長および市関係者と意見交換が行われた。そのなかで吉田宏市長は冒頭から「現地を見に行って、承天寺に隣接したあんな狭いところにどうして建てるのかと思った」と率直な発言。さらに、「景観という意味では、狭い道路をはさんだ承天寺の向こう側にある東宝住宅の現在のビルも問題ですよね」「私も思いは一緒。業者に指導・お願いということで対応し、最大限努力したい」と明快なコメントをされた。
 吉田さんとは以前、たまに飲み語りあうという間柄であった。市長になられてからは会っていなかったが、承天寺問題に限らず、「まだ吉田市長の独自色を出しあぐねておられるよだな」と陰ながら少し心配していたところだった。そうしたこともあって、「市長ウォッチング」も兼ね、陳情団に同行させていただいたという次第である。しかし、昨日の市長をみる限り、市長としての仕事が板につき、キッパリとした対応がとてもいい感じであった。「市長が同じ思いであることを知り、安心しました」という上方の発言もむべなるかなである。 市長は、現在の条例は強制力がないので、条例の改善が必要との認識も披瀝された。しかし、事務方からは当然のことながら、「現在の条例の趣旨に則って指導したい」という慎重発言がなされる。今後は吉田市長のリーダーシップを支えるようなかたちで、関係者・市民サイドがどのような動きを展開していけるかがポイントだ。吉田市長にとっても、「ぼくらの市長」としての存在感をつかめるかどうか試金石となるはずだ。
 井上県議からは、「私権尊重で個人の権利を優先するだけでいいのか。公(おおやけ)の価値を守る法的整備が必要ではないか」というコトの本質をついた発言もなされた。そして陳情の締めは長谷川法世さん。吉田市長の「市民との約束」である「ずっと住みたい街、残していきたい街」を紹介され、その約束を大切にし実現してほしいと、なかなかにうまいまとめであった。
 陳情の模様については、読売新聞、西日本新聞が今朝の朝刊に的確な記事を載せている。今回のような問題において新聞の果たす役割はとても大きい。記者氏に粘り強い取材と報道をお願いしたい。

 読売新聞 5/31 朝刊