サンセットライブ参加記2

今朝はいつもより早く、4時半からカキとクリの散歩にでかけた。カーニバルのあとに人の気配を感じ怖じ気づいたのか、カキは途中で家に戻っていった。そうかそうかと思いつつ、クリのみを伴い、昨夜までライブの会場となったいつもの浜辺へ。かねがねイベントの本当の姿は、舞台裏や「祭りのあと」にこそ現れるという持論をもっている。そのことを確かめたいとの思いもあっての早朝散歩であった。
まず、ライブ会場から帰り道の路上にほとんどゴミがないことに驚いた。それどころか、コンサート前よりもキレイになっていると言っていいほどだ。浜辺にもゴミはほとんど見あたらない。人気がなく静まりかえったステージや露店を回ると、ここも整然と片付けられ、散乱ゴミはゼロに近い。会場で徹夜勤務していたガードマン氏に聞くと、「明け方2時すぎまでスタッフやボランティアが片付けやゴミの収集・分別をしていましたよ」と教えてくれた。
じつは、サンセットライブは以前からゴミの3R(リデュース、リサイクル、リユース)に取り組んでいて、入口では全員に「ひろえば街がきれいになる運動 ─ あなたが気づけばマナーは変わる」と書いたゴミ収集袋が配られる。ライブ案内リーフレットにも「ゴミのポイ捨て禁止! 落ちているゴミをみつけたら拾いましょう」と書かれ、会場4カ所にはエコブースが設置され、参加者に細か分別収集と、出店で使われる指定ポリ容器リサイクルへの協力を促している。また、「ビールのカミコップ10個で、生ビール1杯と交換します」というデポジット的な取り組みもさすがである。

出店コーナーであったエリアを歩いていくと、6〜7人のグループがたむろしているのに出くわした。聞くと福工大、中村学園大、九州産業大の学生たちで、全員ボランティアで3日間にわたり舞台裏を支えたという。ボランティアを通じて知り合った仲とのこと。疲労感と達成感のなかで3日間のことを振り返っていたのであろう。彼らの表情がじつに良かった。ゴミのことに話を向けると「こんなにゴミの少ないコンサートは他にないですよ!」と自信たっぷりに教えてくれ、来年は?と聞くと「またボランティアで来ます」との答えが即座に返ってきた。ボランティアをしてどうだった?と聞くと、「大学ではできない、いい経験をしました」とのこと。
サンセットライブにはこうした学生グループのようなボランティアが数十名参加し、舞台裏を支えている。期間中、要所要所で案内などにあたる彼らは全員、にこやかな笑顔で「こんにちは」「ありがとうございます」と一人一人のお客に声をかけていた。こうした学生の振る舞いに感心していたこともあって、彼らにとって「サンセットライブは夏の学校」なのだと確信した。ホスピタリティの実践にしても、ゴミ回収やチームワークにしても、この体験は貴重な財産として彼らの人生にいろんな影響を及ぼしていくにちがいない。
「気をつけて帰るんだぞ」と学生グループに声をかけた後、人一人いない、メイン会場となったパームステージにたたずみ、とてもいい気分に浸ることができた。サンセットライブが終わると、秋がやってくる。
散歩から家にもどり、月曜日は早朝会議ということもあって、7時前には家を出た。すると近所の鮮魚店の前にクルマを止め、林さんが一人で自動販売機のゴミを回収しておられるではないか。やはり只者ではなない! 昨日のお礼を述べると「今日までで終わりにしないといけないもので」とおっしゃる。こちらもクルマを降り、学生との会話のことや、会場の清掃ぶりに驚いたことなどをお伝えした。そして、「若者にとってサンセットライブはいい学校ですね」とお話ししたら、とても嬉しそうであった。単なる集客イベントを超え、思想をもった取り組みをたんたんと実践しておられる林さんから、「サンセットライブ15年」についてのお話を一度きちんと伺いたいと思う。