承天寺の怒り(15)マンション騒動 終結せり!


 友人で建築家の水野宏さんから「事業採算の見通しがつかなくなったのでマンション建設計画を中止するとの連絡が、東宝住宅から福岡市にあったそうです」と電話があった。「やったぁ!」 ただちに、神保至雲住職にお祝いの電話。電波の向こう側に上方の嬉しそうな顔がはっきりと見えた。次は、「承天寺の怒り」を真正面から受け止め、マンション建設中止のために東奔西走された「博多寺社町ネットワーク」メンバーの中野加代子さん。もちろん、大喜びであった。
 会社と地元との次回・第四回目の協議会において、会社から正式の発表があるらしい。これまでの経緯を水に流し、寺の敷地境界ともなっている塀のこちら側とむこう側が握手を交わす、画期的な会となるにちがいない。
 これで、音さん(川上音二郎)のお墓にも堂々と報告ができるというものだ。そこで、オッペケペーを一節献上。


 音さんの眠りを起こしたマンション騒動
 騒ぎの主が「やっぱやめときます」げな
 そりゃ博多ん歴史に残るよか話たい
 音さんや、祝いに一杯やりまっしょ
 オッペケペー オッペケペッポーペッポーポー

川上音二郎の墓と東宝住宅ビル


【後日談】
言葉や表現には必ず言外のニュアンスが含まれるので要注意である。西日本新聞が7日の朝刊に、「承天寺隣接地 マンション計画凍結 住宅会社 福岡市に伝える」という記事を載せているが、それによると上記・水野さんから聞いた「中止」というのは、会社によると計画断念ではなく、「賃貸マンションの計画をいったん白紙にもどし(これは中止ではないのか? ─ らく)、当面はこれまでどおり駐車場としての利用をしながら、時間をかけて用途を検討し直していく」というものだそうだ。いずれにせよ、12日(月)の会社と地元との協議会の場で、会社から地元関係者にしかるべく説明がなされることとなった。地域の関係者が地域発展に向け、相互に和解しあういい機会だ。博多織求評会で寺を訪れた折に住職にお会いすると、「協議会終了後、社長ないし支社長が、お騒がせしましたと寺にきちんと挨拶にくるのが筋だよね」と言っておられた。世事の区切りとして、会社側からどんな礼儀作法が示されるであろうか。やれやれ一安心という態の音さんを再び起こすことにならないよう、ただ祈るばかりだ(2007-11-09)。