承天寺の怒り(16)一旦お開きにて候


久しぶりに承天寺へ。同僚・加藤君も初めて参禅した也。それに加え、いつものメンバーもほぼ全員そろい、全10名の「気」が満ちあふれる坐禅会となった。お茶会の後、上方の案内で、洗心庭の紅葉を鑑賞した。座敷「提無室」からガラス戸越しにみる紅葉の美しいことと言ったら・・・。燃えるような紅葉が発する光が部屋に差し込み、あたりの空気は紅色に染め上げられていた。そして、縁側に出て、洗心庭から眺めると、提無室のガラス戸に紅葉の饗宴が映しとられ、これまた見事なこと。「この角度から見るのが一番」「この庭は何ものにも代えがたい。進藤さんはここに座って庭を眺めるのがお好きだったそうですよ」と上方、とても自慢げであった。進藤さんというのは、もちろん、市民から「花守り市長」と愛された進藤一馬市長のことである。
マンション騒動も「当面の間」中断とあいなり、音さんもお庭の紅葉とともに「そりゃあ、よかったばい」とことほいでいるに違いない。東京・日比谷のシアター・クリエでは、こけら落としとして三谷幸喜作の、愛と勇気と喝采の物語「恐れを知らぬ川上音二郎一座」が11/10〜12/30の期間、公演中で大盛況だという。愛でたし愛でたしの展開である。
先日(11月12日)の住民との意見交換会で会社が出してきた文書(下記)には、「協議再開が可能な折」には“またお会いしましょう”となっているものの、福岡市都市景観条例の求める条件(承天寺境内からの眺望に配慮した高さとして20メートルを目安とする)に沿って採算性のとれる事業形態をひねり出すというのは、事業者にとって相当高いハードルのはずだ。はたしてどんな形態が可能か、その知恵は東宝住宅のほうにひねっていただくことにしよう。
それはそうとして、わが坐禅会は音さんにあやかり、愛と勇気と喝采で、12月16日に忘年会を行うことになった。また、それに先立つ12月6日・7日の両日の夕方から深夜にかけは、厳しく坐禅に打ち込む「接心」が開催されることになった。坐禅会の仲間5〜6人が参加するとのことだけれど、あいにく出張と重なってしまい、こちらは残念ながら不参加である。
接心=心に接する拠り所である禅寺の、洗心=心を洗う限りなく美しい庭が、薄っぺらい現実原則で踏みにじられることのないよう祈るばかりだ。


*進藤一馬“花守り市長”→ http://d2.hatena.ne.jp/rakukaidou/20070615