承天寺の怒り(18)資料編その2─ 関係者への「ご挨拶」

年の瀬押し詰まるなか、承天寺隣接地・東宝マンション建設計画問題の経過報告と御礼ということで、会社・市との協議をすすめてきた地元世話人会の名前で次の「ご挨拶」が地元関係各位に配布された。「計画凍結・白紙撤回」が最も相応しい対応であることと、「境内分断道路の返還」を含めて実効性ある景観形成が早急になされること。挨拶文はこの2点を改めて明確に主張している。この2点が実現されない限り、「承天寺の怒り」は鎮まりようがないことを改めて確認しておきたい。
 


ご 挨 拶


謹啓 師走の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素より、格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、四月二十六日より始まりました承天寺隣接地の東宝マンション建設計画にともなう景観問題におきましては、福岡市への陳情ご支援をはじめ建設計画関係者協議へのご参加等ご尽力を賜りまして誠にありがとうございました。
おかげさまにて、計四回のマンション計画検討会を実施し、地元関係者、東宝住宅および福岡市都市景観室との協議の結果、十一月十二日に東宝住宅より、条例(凡そ高さ二十メートルを目途とする制限)に適した事業採算計画が困難であること等を理由に土地活用検討等には今後十分な時間を要するため、これまでの関係者間協議を中断したい旨の申出がありこれを承認することとなりました。なにぶん、いまだマンション等建設中止の決着に至った訳ではございませんが、当面景観を保全できる事となりました。多くの良心に支えて戴きましたことに衷心より感謝申し上げます。
これからも地域の歴史・文化の特性を活かしたまちづくりに関しまして実ある企業としての社会貢献的配慮が示されることを期待しておりますし、地域とともに広く市民の理解とご協力を戴けることを祈っております。
また、博多の歴史が示す報恩ある名刹承天寺への顕彰を考えるに計画凍結・白紙撤回が最も相応しい対応であると存じておりますし、過去の都市計画が課題を残す境内分断道路の返還を含めて実効性ある景観形成が早急になされることを真に願っております。当地域は古くより外国との通い合う交流があり、禅文化を迎へ送り出した歴史的特徴があり、そのような博多発祥の歴史と文化を礎とした、心豊かな発展こそが市民の切なる願いであると確信しております。
どうぞ今後とも、ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。
本来ならば拝眉のうえ御礼申し上げるところでございますが、年の瀬押し詰まり、甚だ恐縮でございますが書中をもちまして、簡単に経過ご報告と御礼のご挨拶を申しあげる次第でございます。
末筆ながら皆々様の御健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
謹白


平成十九年十二月吉日

世話人会   
    博多駅前一丁目 自治会長    野中俊一郎
    川上音二郎世話人会代表世話人 長谷川法世
    その他一同                


皆様のご恩情に深謝申し上げます
どうぞよき年をお迎え下さいませ

    萬松山勅賜承天禅寺 住職 神保 至雲