KANSEIカフェ

1月から、「感性」に取り組む、全国8大学のフットワークのいい先生方に呼びかけ、「KANSEIカフェ」という第三の場所(サード・プレイス)の開設に向けた準備を行っている。「感性」を軸に、21世紀の生き方を探求しあう、オープンでアクティブな場を、「知の入会地」として創出していきたいというのが狙いだ。経済産業省は昨年5月、「感性価値創造イニシアティブ」という、国の役所としては一風変わったレポートを発表した、そのとりまとめの中心となったメンバー(デザイン・人間生活システム政策室)との共働の企みである。4月1日、経済産業省では、2008年度から3カ年を「感性価値創造イヤー」として位置づけ、様々な施策を展開していくという発表を行った。その同じ日に、「KANSEIカフェ」コンソーシアムを、東京ミッドタウンで開催した。
大学、行政、企業のいずれでも単独では実現できない、第三の場所を、カフェ的な交流と触発の場として創り出したいと思っている。1日の第2回目の会合には、20名ほどが東京ミッドタウンのデザインハブに集まり、カフェの方向性 について話しあった。デザインやマーケティングの分野の方々がメインなこともあり、“カラフル”な議論となった。大学、行政、企業のいずれも、それぞれに閉塞感をかかえ、“このままじゃ”という思いは一緒。
東京芸大のO教授は、「デザインを志す最近の学生は、創造の元になるリアリティがなくなり、“何のために”“誰のために”という目的意識が急速に薄れている」という発言をされた。そこで芸大では、「足立区プロジェクト」ということで、学生をひきつれ、下町の工場めぐりを行い、現場体感型の授業に取り組まれているという。芸大ですら、「感じる」とか「欲求」ということかから離れた手法的な世界に閉じこもる学生が増えつつあるという。そして、切迫した「テーマ」が不在化する一方で、キャリア確保のために「学位」を志向する学生が増えている、という話も興味深かった。
いずれにせよ、感性の時代にふさわしい学びと触発の場を、個人による実行委員会方式で、学生たちや企業関係者の参画をまきこみながら、つくっていうこととなった。しかし、「KANSEIカフェ」のビジョンや、その具体的イメージの共有までには至らなかった。わずか2回の会合をやっただけだ。こちらの問題意識もまだ未整理状態だし、当然のことだと思う。あせることはない。
そして、きょう(7日)、東京出張のついでに、カフェ仕掛け人のミーティングをもった。場所は経済産業省内。経済産業省の3人と、大学関係者2名、マーケティング関係者とで、ブレスト会議となった。あくまで「個人」の発意や行為として、「感性」を軸に、新しい場を創り出すこと。その1点に向けて、コンセプチュアルな対話がはじけ、楽しい時間となった。詳細はナイショ(笑)だけど、何かが始まりそうなワクワク感のあるカフェ的な場を始まりそうな気がする。どう見ても、それぞれの領域で、ちょっと変わった動きをしている人間が集まり、結託して、ひとつの動きを出そうとしていることが、とてもあやしい(笑)。まさに、サード・プレイスだ。
カフェのキックオフは、5月末。当座は東京での開催となるが、福岡、唐津、金沢と、各地へのトラベリング・カフェも実施していきたい。請う、お楽しみ。


*感性価値創造イヤー
 http://www.meti.go.jp/press/20080401001/080401_k_set.pdf

*感性価値創造イニシアティブ
 http://www.meti.go.jp/press/20070522001/kansei-gaiyou.pdf