古酒と螢の観賞会

,,,
志摩町のお隣・前原市の白糸酒造から「大吟醸10年古酒試飲会」のお誘いをいただき、夕食の後、カミさんと出かけた。白糸酒造は、ハネ木搾りという昔ながらの方法で酒造りを続ける小さな酒蔵である。杜氏さんは芥屋の方だそうだ(今も何名かおられるそうだけれど、かつて芥屋は県内外の酒蔵に杜氏を送りだす杜氏の里として名を馳せていたという)。二月の蔵開きの時に搾りたて新酒1本がいただけるというのに釣られ、「酒林蔵部」のメンバーになっている。
我々が着いた時は、蔵の中で既に20名ほどの酒林蔵部の会員諸氏による試飲会がはじまっていた。社長の田中さんをはじめ、奥さん、社員の皆さんがきびきびと動き回られ、細やかなおもてなしがうれしい。
肝心の古酒のほうは、歳月をへてまろやかとなった中にもキリリと締まった味が絶品だ。それにしても、商品のなかでも最高級品である「大吟醸十年古酒」をおしげもなく振る舞うというのは、そうできるものではない。
30〜40分、舌鼓をうったところで、田中社長の案内で近所の用水路を伝いながらの螢鑑賞の散策。田中さんご自身が「伊都国自然環境ホタルの会」で活動されているそうで、一年の活動の成果を我々に披露して下さったというわけだ。
口外しないで下さいということで案内いただいたスポットでは、ホタルの光の舞を、20年ぶりくらいだろうか、久しぶりに満喫することができた。
「古酒と螢」ということで二重の歓びを得て、酒林蔵部の面々はいずれもたいそうご満悦であった。私も、顧客との関係を、顔のみえる形でつくり大切にしていこうという白糸酒造・田中社長の姿勢に感銘をうけた。そこには、いたずらに成長や効率という量を追うことなく、淡々と、しかし自信をもって「質の経営」に当たられる姿があった。

http://www.shiraito.com/