『手の間』の世界

友人の篠原久之君(篠ちゃん)から、『手の間』という雑誌が創刊されたと聞き、帰路、けやき通りのブックスキューブリックで求めた。一冊一冊、きちんとビニールで包装されている。自分だけの一冊。
表紙のコピー「ていねいな仕事 遠回りの行き方」というのがいい。背景には土壁のポケットにおかれた土の花瓶に花の小枝がやしい光でうかびあがった写真。表紙を開くと、「手間かけて創るひと、手間かけて創られたもの。」というコトバ。その背景には、誌面と連動して展開されるという土と木と緑の感触が伝わってくるような空間「手の間」の写真が配されている。
ページをめくっていくと、空間「手の間」の設計者・高木誠三郎さんのエッセイ「手仕事の時代」があって、設計上の注文が、ただひとつ、「時間が経っても飽きないもの、気品に満ちた朽ち方をするもの」であったことが紹介されている。わずか数ページをめくっていくだけで、『手の間』にかける編集人のこだわりとココロザシがひしひしとつたわってくる。「手仕事」と「人の営み」のもつ感触や風合いを大切にしてく ─ 。
中味はと言うと、「土と生きる〜壁を創る左官職人 原田進」「下島啓吾〜日常のデザインと僕の仕事」「武富勝彦の農食同源」など仕立てのいい記事がしつらえられている。
福岡から、人に自慢できる雑誌が発刊されたことがうれしい。編集人が取材先で見つけた酒と肴を楽しめる角ウチもあるという空間「手の間」にも、近いうちに訪ねてみよう。

http://www.tenoma.net/home.html(手の間)
http://www.bookskubrick.jp/ブックスキューブリック