「人を巻き込む力」が決め手となる時代


トンでもない暑さに辟易した一日が過ぎ、夜は「真・連携〜夏の陣」と題する集まりに出かけた。仕掛けたのは、九州経済産業局から昨年6月まで産学連携担当の助教授として九州大学工学研究院に出向されていた松田一也さんである。松田さんは現在、同局の企画部調査課長として活躍されているが、九大時代から主宰されている「産学連携道場」を継続されるとともに、帰局後は「真・連携通信」を発行され(送付先は900名に及ぶとか)、九州一円はもちろんのこと全国にひろがるネットワーク活動を精力的に展開されている。毎週、メールで送られてくる真・連携通信には産学連携や科学技術政策に関わる多面的な情報が、簡潔かつ的確なコメントつきできちんと整理されているので、いつも重宝させていただいている。松田さんのマネをしようと試みにやろうとすればすぐ分かるが、こうした活動はよほどの使命感と大局観がなければどだい無理な仕事である。しかも、松田さんの場合、これらの活動を、現在の調査課長というお仕事とは直接には関係ないにもかかわらず、心血を注いでおられるところが凄い。脱帽である。
そういう松田さんからの交流会(飲み会)のお誘いということで出かけた。20分ほど遅れての参加ということもあったが、居酒屋のワンフロアは、すでに30名をこす参加者でごった返していた。しかし、会場では46名ぶんのプロフィールや自己PRをリスト化したコピーが配られており、どんな方々が参加されているか一目でわかる手回しのよさには感激した(じつは参加希望者は、事前に自己紹介を送るように求められていた)。そして、適当にビールで涼をとったところで各自1分ずつの自己紹介タイムへ。これも、松田さんの絶妙な進行で、最終的に40名を超えた全員の素顔にふれることができた。
参加者は、企業関係者のみならず、大学(九大6、福大2、福岡工大・福岡女子・鹿大大各1)、行政関係(九州経済産業局以外にも福岡市、北九州市唐津市等)とじつに多彩で、まさに産学官連携の縮図状態であった。自己紹介タイムの後の交流タイムでは、席を立ち・相互移動しあっての交流が繰り広げられ、まさに「夏の陣」となった。
仕掛け人である松田さんは、もちろん行政マンであり、産学連携のコーディネート業務を数多く手がけられてきた方である。しかし、今日の交流会には松田さんの職場における「業務」の定義や、行政的なフォーマル(ということは利害ずくの)な場のセッティングからは絶対に出てこないであろう、人間の熱気や思いがあった。そして、この熱気の中心に松田さんという人間の、仕事を超えて「人を巻き込んでいく力」があると確信しつつ、心中「凄いよなぁ〜」を連発しながら10時すぎまで楽しい酒をのんだ。
あらゆる領域で、既存の区分や常識が消失し流動化するなかで、これからの時代は「はみだし力」と「巻き込み力」を決め手となることを痛感した次第である。しかも、それを楽しく、和気あいあいと、というのが肝心だ。ということで、も一つ「宴会力」(笑)というのを忘れずに付け加えておこう。


産学連携道場→ http://www.kitec.or.jp/sangaku/