ラーメンは味・人・店の総合ゲージュツなり

,
東京出張で、お昼にラーメンでもというので、同僚である後郷吉彦さんの案内で、地下鉄・曙橋そばの「第二旭」へ。このお店、後郷さんが日経BP時代に10数年通い続けた、東京で一番お気に入りの店とのこと。
あけぼのばし商店街から安養寺坂に入り、商店街の一つ裏の筋に、こんもりとした佇まいで「特製ラーメン 第二旭」という、年季の入った看板と暖簾。まさに「穴場」のラーメン屋である。後郷さんによると京都駅裏の「旭」との関係ありという。
入ると、これがまた、1960年代の雰囲気で、オヤジとオバサンも相当年季が入っていて、完全に店の一部と化した状態。肉なしラーメン(野菜入り)350円、という低価格に驚きつつ、上ラーメン(焼豚入り)520円を注文。写真の煮玉子は、後郷さんの久々の来店に感激したオヤジがサービスで後乗せしてくれたもの。
まずは一口すすると、とんこつベースの醤油味で、とてもあっさりで懐かしさがこみ上げてきた。ストレートでもちもちした麺との相性も抜群。30年来かわらない味という。味の素に頼らず、けれん味がない味で、最後の一滴まで旨かった。
こう書くと、すんなり静かにラーメンにありつけたような雰囲気だが、ところがどっこい。あっさり系のスープに完全反比例して、オヤジの味の濃いいこと(笑)。久々の後郷さんということもあってか、特製ラーメンならぬ特製世間談義が炸裂。「近くには日高ってチェーンのラーメン屋ができるわ、日本テレビは引っ越して客はめきり減るわで、うちなんかもうダメだよ!」「最近の若い連中は、コンビニの即席ラーメンやらマクドナルドだかなんだかで、ロクなもん喰ってねぇよ」「値段あげようにも、上げたら客が減るもんで上げられやしねぇ、10年以上、同じ値段だぜぇ」、、、。
こうしたガンガンのBGMを聞きながら、30年前とまったく同じというお店のカウンターでの一杯は、ほんと最高だった。そしてしまいには、久々に調子が上がってしまったのであろうか、オヤジさん、大根の特製漬物を3切れずつサービスしてくれた。これがまた、なんとも言えない味で旨かった。
ラーメン通をきどり、有名だランキングだという「情報」を食べ歩く輩とは全く無縁の、「我が道をいく一店」である。ラーメンは味・人・店の総合ゲージュツであることを噛みしめた一時であった。

第二旭http://tokyo.gourmet.livedoor.com/restaurant/info/10517.html