薮野祐三教授の還暦会に思う

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当地では、選挙の際の解説でおなじみ、薮野祐三教授(政治学)が還暦を迎えられたということで、お祝いのパーティ会場である九大内のファカルティ・レストランへ。薮野さんとは、10年来のお付き合いである。私にとっては、たわいないジョークを交わしあえる数少ない同僚であり、尊敬するフィールドワーカーでもある。以前、「フットワークの軽い人間ネットワークづくり」ということで共に「UKI UKI(うきうき)研究会」というのをやっていたこともある。
参加者は全体で50名ほど。ゼミ生・卒業生の手づくり企画パーティらしく、若い人たちの参加が目立つ、終始うちとけた雰囲気のパーティであった。政治や行政のかかえる問題を、日常の言葉で簡潔にわかりやすく語るスタイルをとってこられた薮野さんらしく、無駄のないパーティ進行はさすがであった(進行役は、薮野さんの秘蔵・案浦明子さん)。
そして、薮野=政治学ゼミらしく、OB参加者のなかに現役県会議員(鬼木誠さん)や市議会議員候補(田中慎介さん)の姿があり、薮野ゼミが政治家を育て輩出していく機関として役割を発揮していることに感銘を受けた。大学のなかで、「政治」をこれからの若い人たちが挑戦していくべき重要な「仕事」としてきちんと説明し、その道をめざす若者を励まして来られた先生を他に知らないだけに、「ビジョンをもった政治家を育てる」ことに情熱をかけておられる薮野さんの闘志を改めて拝見させていただいたような気がする。
薮野さんは、「ローカル・デモクラシー」や「ローカル・イニシアティブ」という概念をもとに新しい政治のありようを提起され、その実践家としも奔走されている。薮野さんのような教員が増えると、社会と大学との風通しがもっとよくなるはずなのだが、残念ながら、理論と実践を自在に往ったり来りできる人間を大学で探し出すのは難しい。もちろん、これは自分についても投げられるべき問いかけだ。来賓挨拶にたたれた西日本新聞社の菊池恵美さん(取締役編集局長)の口からは、「できれば130周年記念事業の一環で、九大法学部に寄付講座を開き、九州学の拠点としたい」という発言が繰り出された。大学と社会の連携というと、どうしても産学連携や技術移転というハード・アプローチが中心となりがちであるが、これからは、人と人、人と組織、組織と組織の関係性をめぐるソフト・アプローチに力点をシフトさせていくべきと思われるから、ありがたいご提案である。
そうした提案も含め、社会における関係の学である政治学、とりわけY教授への期待は大きい。と最後は、ヤブノビンスキー教授をヨイショしておくことにしよう(笑)。