お寺へもっと気軽に行こう!

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芥屋のすぐ隣・岐志の、海を望む小高い丘に海徳寺という浄土真宗のお寺がある。いい名前のお寺だなぁ、と常々思っていた寺だ。奥様の松月よし子さんは芥屋地域づくり推進協議会等でもご一緒させてもらっている。その海徳寺で「Bon Festa」というコンサート(無料)があるというので、ふらりと出かけた。聴衆として集まったのはご近所さんや門徒さんらである(その数は2〜300人はあったろうか)。その中には知った顔も10人はあった。
18時すぎからスタート、21時半頃まで、お堂正面にしつらえられたステージで4組12名が出演し、演歌から民謡、懐メロ、ポップスまで様々な音楽が披露されていった。こう書くと、普通のコンサートのようであるが、三々五々と人が集まり、海の風と、境内のゆるやかな時間につつまれた、スローなコンサートであった。観客席のすぐ横には出店が並び、ビール、ジュース、カレー、焼きそば、焼きイカ等が売られ、縁日風のノリでもあった。お堂に下がった幕には、「歓喜会(かんぎえ)の集い」となっていた。
「Mr.サマータイムでおなじみの、サーカスサウンドがやってくる!」とポスターにあっただけに、ハイライトはサーカスメンバーによるデュオJ&Oであった。お二人の粋でワクワク、ほっとする音楽に聴き惚れ、幸せな気分のなかでコンサートがお開きとなった。
このBon Festa、お堂改築を祝って始まったそうで、今年で10回目という。ステージから海が目前に拡がる境内でのコンサートというのは、とても素敵だ。出演者も口々に言った。「こんな素敵な自然につつまれた皆さんが羨ましい!」
コンサートの合間で、住職・松月博宣さんのミニ法話があった。「とっつきにくいお寺に一人でも多くのかたがたに気軽に来て欲しい」というのが、Bon Festaを始めたきっかけもあったとの説明。そして、法話では、「仏教の本質は一言で言えば、“自己に出あう”といことです」「また、“自己に出会う”ためには“とてつもない存在”に出会う必要があります」「それが阿弥陀様です。阿弥陀とは“無量”、はかり知れないという意味です」と、短い時間で、仏教の教えを簡潔に説かれていった。私は音楽はもちろんであるが、この法話に何よりシビレテしまった。
古来、お寺はお参りの場にとどまらず、地域の学校(寺子屋)であり、劇場であり、祭りの場でもあった。現代風に言えばコミュニティーセンターだ。松月住職の「お寺の空間をもっと活用して下さい。どうぞ気軽に来てください。失恋した時もどうぞ」という言葉は、お寺の原点回帰宣言でもある。こんな包容力のある開かれたお寺がすぐ近所にあることを知り、今日はとても嬉しかった。

 *海徳寺→ http://www.kaitokuji.com/(松月住職のブログあり)

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