ワークショップ@博多織未来予想図

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「伝統」への気づき "博多織未来予想図" の二日目のイベント「親と子のワークショップ」のほうも成功裏に終了した。
初日とがらりと趣向を変え、二日目は夏休みも最後の週末の子どもたちを迎えた体験型イベントを行った。
全体3部構成で、第1部は「機織の音色と語りの朗読っセッション」。舞台に機が設置され、織姫といった感じの村田美帆さん(博多織デベロップメントカレッジ学生)が織る“きー、ぱたんぱたん”という機の音色がホールに心地よく響き、それに松浦浩司さん(とんちピクルス)が波や花火の柔らかい音を重ねてゆき、佐々恭子さんが朗読で博多織770年の“記憶の風景”を再現していくというものだ。佐々さんの宇宙的な語りと、機のリズムと音色、松浦さんのセピアな音楽が、見事一つになって、おもわず「へぇ〜、スゴイ」とうなってしまった。感性にとって、感受する部分と同時に、表現というモーメントもまた重要であることを痛感した。
第2部は、親子で博多織の模様をつくろうというワークショップ。手押しロール棒に、ヒモや糸を自由にまきつけ、絵の具を染み込ませたものを、帯状にした模造紙の上でころがしていくと、博多織「献上柄」のような不思議な模様が出現する。ころがしてみるまではどんな模様となるかわからないというのがミソだ。偶有性と創造性の世界に、15組の親子がともに遊ぶ様は、みているだけでも楽しくワクワクものであった。親子の募集にあたり尽力いただいたNPO子ども文化コミュニティーの皆さんも口々に、「これはワークショップのプログラムとしていけますね」と言っていただいたのが嬉しかった。
そして、最後(第3部)は、公募モデルによる博多織のファッションショー。それぞれに「山笠と着物」「着物でお芝居に」とか「ジャズコンサートにお出かけ」といったテーマにあわせて、博多織の粋をつくしたファッションが次々に披露されていった。その恰好よさは、古色蒼然とした一般的な伝統イメージからほど遠く、とてもモダンであり、いたく関心してしまった。「和」を楽しむ感性は、もっとたくさんの人びとに共有され愛されてよいと思った。
初日もそうであったが、二日目もあっという間の2時間であった。さらに、ホールの外(コミュニケーション・エリア)では機織りの実恵・体験や、献上柄塗り絵体験を楽しんでもらった。またそれらを楽しんでもらった人びとに、博多織「献上柄」印象評価アンケートを実施し、150名の方に回答していただいた。一般の人びとが博多織にどんなイメージを抱いているのか、統計学的な評価を行い、今後のデザインやマーケティングを支える科学的データを得るのが目的だ。
いずれにせよ、初日とあわせ、大学が関わるものとしてはかなり異色のイベントとなった。そして、研究において伝統の美意識を支える感性の構造をどう捉えていくかという課題と同時に、よりよく生きていくための拠り所である伝統の新しい用と役をどう見出し、いかに再生していくかという課題の意味と重さを改めて痛感した二日間であった。
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(おまけ)
今回、音楽を担当していいただいた松浦浩司さんが、8月31日(木)に冷泉荘でライブをされます。
とんちピクルス”の音楽を一度ぜひお楽しみ下さい。

ウクレレ旅行』ウクレレライブ
8月31日(木)
19:30〜
場所:冷泉荘「トラベルフロント」
   http://front.travelers-project.com/
 *1,800円でコーヒー、スウィーツ付