起業家セミナーに潜入

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久しぶりに、ベンチャービジネスラボラトリー主催の起業家セミナーを“モグリ”として聴講した。企画・立案・運営がほぼ100パーセント、学生の手ですすめられているセミナーである。昨年のセミナーから五十嵐伸吾さんが担当教員として面倒をみておられるが、じつは僕の古巣でもあって気になることから、早くから潜入したいと思いながらも、今日になってしまった。
今期のセミナーは、「20代の履歴書〜僕らのこれからと彼らの軌跡」が共通テーマ。なかなかいいテーマだ。しかし、このテーマに基づく講義をもとめらる講師にとっては、来し方を振り返り、次の世代の若者にどう伝えていくかという作業が求められるわけで、結構たいへんなはずだ。
本日の講師は、(株)GENUSION の代表取締役社長 中島盛義さん。初めてお目にかかった。中島さんは、三菱電機半導体事業の中核を担われた後、2002年にGENUSIONを設立され、半導体分野における日本発ビジネスモデル構築に向け、果敢な挑戦を繰り広げておられ、半導体分野のいわばヒーローである。
こうしたセミナー、通常は携われているビジネスのお話と成功談(自慢話)や失敗談に終始しがちであるけれど、「20代の履歴書」を求められた中島さんが学生たちに最初に提示されたのは、「人生のモチベーション曲線」という一枚の図であった。誕生から10代、20代、30代、40代、50代と、人生を彩るエポックが書き込まれ、モチベーションのレベルがどう変化してきているかが、簡潔に整理されている。図にしてしまえば簡単そうに見えてしまうが、わが身を冷静に振り返り、跡付けていくといのは、けっこう大変なことであったろうと推測できる。しかし、学生たちの真剣な問いかけに、きちんと誠実な回答を用意されてきた中島さん、立派である。
80名ちかい受講生は、中島さんの2時間余りのエネルギッシュな聞き入っていた。そして、質疑応答の進行は、セミナー実行委員会の吉田君が担当したが、これもお見事。今日のセミナーは、半年近い準備期間をかけて実現した、彼らの言わば作品である。そこに投入された思いが、ストレートかつ真摯な進行に若者らしいさわやかさで表現されていた。
もちろん、中島さんの講義は興味津々の内容であったが、それより実行委員である学生と講師との間に、緊張感のあるインタクティブなやりとりがなされる「場」がとてもいい感じで立ち上がっていたことに深く感銘をうけた。学びの場はやはりこうあらねばならない。セミナーの後の懇親会は、残念ながら参加できなかったけれど、中島さんと20名近い学生たちとの熱い語らいが遅くまで続いたに違いない。
そうそう、僕も自分の「人生のモチベーション曲線」を一度つくってみないといけない。激しく蛇行と上下を繰り返し、かつ先の展望が開けない複雑怪奇なものとなるにちがいない(笑)。

起業家セミナー→ http://vbl.kyushu-u.ac.jp/edu/seminar/index.html