本格キムチ教室

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本場韓国の先生を招いて「キムチ教室」が開かれるというので「面白そうじゃないの、わしも行く」と、カミさんのおまけで参加した。主催は、以前「地域の異能」ということで紹介した柴田重人さんの柴田園芸である。場所は、柴田園芸・芥屋フラワーセンターの一角の大きなガラス温室。
10時からというので10分ほど前に行くと、会場には、すでに白菜、大根、ネギ、香辛料、まな板、包丁といったキムチセットが手際よく用意されていた(ちなみに材料費は一人3,000円)。へぇ凄い、と感心していると、次々に受講生がやってきて、あっと言う間にガラス教室は50名を超す人で埋まっていった(男性は僕を除くと他には一人のみ)。
重人さんの挨拶の後、全羅北道から昨日見えたという宋英子さんのキムチ教室が通訳付きで始まった。宋先生、シマチョゴリがきまっていて、いかにも韓国のハルモニ(お婆さん)。70歳でありながら、とてもカクシャクとれている。(株)江景キムチの工場代表として、毎日1.5トンの手作りキムチ生産の指導・監督に当たられているそうだ。キムチ関連の特許(韓国)も多数保有されているというから、キムチの先生としてこれほどの方はいないであろう。
肝心のキムチ、まずは大根とネギを刻んで9種類の香辛料をまぶしたもので薬味をつくり、前日から塩漬けされて水抜きされた白菜の葉を一枚ずつめくりながら、その間に薬味を丁寧に挟み込んでいった。すると、1時間もたたないうちに、3キロの“本物”キムチが出来上がった。“本物”というのは、香辛料はもちろんのこと、白菜も韓国のものでなければダメだということで、重人さんが韓国白菜の種から今日のために一年かけて栽培・用意するといった、徹底したこだわりが込められているからだ。重人さんによると、日本の白菜は韓国ものに比べ30パーセントも水分が多いので、キムチからほど遠いものしかできないという。
さて、3キロの“本物”キムチが出来上がり、さぁお昼ということで、宋先生の手作りキムチを、黒米ごはん、キムチチゲと一緒にいただいた。キムチチゲも、宮崎から取り寄せた“きなこ豚”を使うというこだわりで、2回もお代わりをしてしまった。大満足である。しかも、明日からはしばらく、ほっかほかキムチご飯が待っている(笑)。
重人さん、これだけの準備と手間ひまをかけて「キムチ」に取り組むのには訳があるという。健康食としてのキムチに着目し、「柴田さんの高級キムチ」を事業として今後展開していく計画だそうだ。そのために、数年前から、(株)江景キムチや江原大学との交流を重ね、健康飲料や醗酵食品についての研究をされてきたという。そして柴田園芸には、一年前から江景キムチの朴さんが派遣され、共同事業の準備をされていることも初めて知った。
重人さんのオープンな姿勢は徹底していて、キムチづくりのノウハウと材料をどんんどん提供するので、芥屋活性化の起爆剤として地域でもぜひ取り組んで欲しいという。「私は花屋ですから」と謙遜されるるが、国内外を飛び回り、「健康」や「育種」「酵素」をキーワードに国内外を飛び回っておられる芥屋随一の事業家である。上海大学の指導員も務められているという。正直言ってまだその全貌(笑)をつかみかねている。しかし、こういう方がご近所におられるというのは、楽しい限りである。「ちょくちょく飲みましょうや」というお誘いを真に受け、次回は焼酎片手に「柴田キムチ研究所」を訪ねることにしよう。
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 *地域の異能(2006-06-22)→ http://d.hatena.ne.jp/rakukaidou/20060622