冷泉荘で帽子と出会う


 (山崎さんと野田君)

野田君・山崎さんのコンビが大事に育ててきたデパートメントアパートメント「冷泉荘」の満一歳の誕生パーティに、志摩町のミカン(甘夏、新甘夏、丸レモン)をもって、着物のカミさんとともに出かけた。
パーティが始まる前に、一通り荘内を探検。久しぶりに回りってみて、個々のショップがこの1年間でそれぞれに成長し、オーナーが自信をつけてきているのがよくわかった。野田君がじっくり面談した上で、高い志をもったオーナーを選んだだけのことはある。
荘内のギャラリーで個展開催中のあるアーティストの作品は、近く、新国立美術館で展示されることが決まったという。何の変哲もないガムテープをもとに財布をつくり、そのことで、日常生活においていかに「考える」「つくる」ことが少なくなっているかを見つめ直していきたいという。自分で食べるものも極力自分でつくっているという彼は、ファッション専門学校においてアートの面白さに気づいたそうだ。こうした若い才能が飛び出ていく機会を提供していくことが冷泉荘のホットな役割だと思った。
次に足を止めたのが、オリジナル帽子ショップの「Energy」。店内に並ぶ帽子に「わー、どれも素敵」と歓声をあげるカミさんを横に、ふむふむと見渡すうちに一つの帽子に目が止まり、デザイナーの原恭子さんに、おもわず「これ下さい」。「折り曲げたり、前と横をずらしたりして、被る人のセンスでいろいろな被り方が楽しめる」というリバーシブルタイプの、なかなかにデザイン性の高い帽子だ。帽子とはあまり縁がない(というかコダワリがほとんどない)人間であると思ってただけに、深層意識に響くものがあったのだろう。早速、その帽子(BONPEI)を被ってパーティ会場へ。そして目黒さんがボクを見つけるなり言った言葉が「帽子はいいけど、あなたが被ると変だし、とっても妖しい!」。側にいた田村さんも「ホント、妖しいね」と同調モード。しかし幸いに(笑)、他の人たちは「なかなか素敵」と言ってくれたので、どうにか気をもちなおすことができた。意趣返しに、“Kyushu 7” のお揃い帽子として、ご両人にも被っていただこうかいな。
パーティは建物の前の路地で行われた。冷泉荘のお振る舞いである。向かいのビルの壁をスクリーンにして、映像を流しながら ─。100名ほどが、路地裏の打ち解けた感覚で、ワインをお酒を交わし合った。
パーティの途中で目黒さんに誘われて「ル コアン レアリテ」でのライブへ。「ビー球ラウンジ」という変わった名前の、大関ジュンコさん(二胡三線、ボーカル)と安田クニヒデ(ギター、サックス、ボーカル)のデュオ。宮沢賢治作詞・作曲の作品2曲や沖縄民謡を含め、楽しいコンサートだった。コンサートでは中国楽器・二胡のたおやかな響きと音色が、賢治ワールードと相性がいいことを発見した。また、ゲストで賢治の曲に合わせてダンスを披露された井福今日子さんの表現力に、改めてダンスのもつ魅力にシビレてしまった。
賢治の世界に浸っている時に、窓の外では劇団GIGAのお芝居が始まったらしく、演劇的どよめきがびんびんと伝わり、さながらパラレルワールド状態となった。
コンサートが終わり、再びパーティに合流して、GIGA主宰者の菊沢さんともしばし懇談。そしてパーティ途中で、目黒・田村・坂口の“三●●コンビ”そしてカミさんと抜け出し、春吉の「O2」で食事。目黒・田村両氏の女性談義をしばし傍聴し、お開き。