Kyushu Okinawa 7のテーブル完成

目黒・田村・坂口による共同オフィス「Kyushu Okinawa 7」の開設準備が現在進行中だ。場所は、福岡市大名の中心部、むかし紺屋町といっていたところで、ジョーキュー醤油の筋向かいの古いビルを改造して進行中の「紺屋2023」がその場所だ。「ディレクター雑居ビル」というコンセプトで、トラベラーズプロジェクト「冷泉荘」の野田君がプロデュースするビル再生プロジェクトである。2008年からの2023年までの15年間の期間限定プロジェクトということで“2023”というネーミングとなっている。

 *隣組となるアート・ベース88のブログより

その詳細はおいおい紹介するとして、水野宏建築事務所のお世話で17日から内装工事が始まった。内装工事は、貧乏オフィスゆえ当座は、ガスなし、エアコンなし、固定電話なし、、、たないないづくしである。「成長するオフィス」といえばカッコはいいが、要は、紺屋という失われた街(ロストシティ)に出現した、むかし懐かしの「ロストオフィス」といったところか。プリミティブ(原始、原型)に回帰し、そこから組み立てていくしかない、ロストセブン(笑)の矜持がオフィス空間に表出しているというわけである。ちなみに、「“ロストシティ”で行こう」というのはヒロ(下記)のアイデアである。

そのKO7オフィスの真ん中にデンと据えられるテーブルが19日に出来上がり、搬入された。ご近所の造形作家タケナカヒロヒコの作品である。実はこの机の制作には、僕もほんの少しだけ参画した。先週の土曜日の午後、家から2〜3分の工房にふらりと立ち寄ったところ、3時間ほどヤスリかけを手伝うこと羽目になったというわけだ。

数年間、乾燥のために立てかけられていた銘板(クス)の表面磨きと、テーブル中板(センダン)に彫り込まれた7連の星雲の、これまた磨きを手伝った。もとは農家の納屋であったところがヒロ(タケナカヒロヒコ)の工房である。
テーブル制作中のヒロを尋ねると、待ってましたとばかりに、「らくさんたちのKO7って一体どんなことをしたいの?」「オフィスのコンセプトは?」「どんな物語りを想定しているの?」と質問が次々に投げかけられ、「よかったらちょっと手伝っていかない」ということになった。ちょっとやってみるかということで、センダンの板を磨き終え、「この後、どうする?」と尋ねると、ヒロは「そうだ!と言って、突然電気ノコを持ち出し、器用に動かしながら板の表面に削り込みを7カ所つくっていった。この咄嗟のひらめきというか直観的な手の動きは、まさにアート。「すげぇ〜」と唸っていると、「僕は家具屋さんでなくて、アーティスなもんで・・・」「複製はなし。一つ一つが作品なんです」と泰然としている。そして、電気ノコで削り込まれた凹部を、僕が電気ヤスリをもち、工房つきの弟子(笑)として滑らかに磨きあげていった。
制作にいそしむ
なんだかんだで個人的な思いが注入されたそのテーブルが、数日にわたる制作工程を経て、本日搬入と相成った。パーツの状態でもちこまれた木塊が、現場で調整しながら組み立てられていった。ヒロとその仲間たち、和傘づくりの吉田君、陶芸作家・伸太の3人である。組み上げられたテーブルは工房で見たときよりも一回り大きい印象だ。どっしりとした4本の足に支えられフォルムは、まるで森のなかの生きもの(それは牛か熊か?)ようにも感じられる。無垢のテーブルは、どこから見ても、空間の「中心」としての存在感をアピールしている。
これから、7つの星雲が刻みこまれたこのテーブルを囲む議論から、どんなアイデアと仕事が展開してくか ─ 。もちろん、そんなことは誰にもわからない、いや、知ったこっちゃない(笑)。


 *星雲のようであり、渦のようでもあり


■タケナカヒロヒコの世界
  http://www.h3.dion.ne.jp/~aloha/