書窓から

『社会脳』を読む

京都医療少年院勤務の精神科医であり小説家(ペンネーム小笠原慧)でもある岡田尊司さんの『社会脳 ─人生のカギをにぎるもの』(PHP新書)を読んだ。現代社会、とりわけ子どもたちにおいて、社会性の能力(社会脳)が危機にさらされているという状況について…

『ウェブ人間論』と『ウェブ進化論』

出張の往復で読んだ『ウェブ人間論』(梅田望夫・平野啓一郎)が滅法面白かったので、家に戻り、梅田さんの前著『ウェブ進化論』を取り出して1年ぶりに再読した。これがまた、滅法面白かった。この1年間の当方の成長(笑)を反映してか、前回読んだ時よりも…

自己の初期化

前日(8日)の「無意識の耕作」に引きつけられるように、禅僧・南直哉(みなみじきさい)氏が語っている言葉を読み返した。「心身脱落」によって、自意識が崩れた状態にまで降りて行こうとする禅の世界は、とても奥深い。 - 「赤ん坊に返れ」という言い方が…

ひさびさの中沢新一。「モノとの同盟」は魂を揺さぶらずにおかない

このところずっと気になっていることがある。20世紀が「技術の世紀」として様々な便益と発展を生み出してきたことは否定しようがないが、21世紀に入って「技術」の神通力というか有難味が薄れ、技術それじたいに方向感覚が失われているように思えることだ。…

『感性の科学』

このほど、朝倉書店から『感性の科学 ─ 心理と技術の融合』が刊行された。私も編著者として名を連ねている。仕事での現在の私のテーマは、「感性」をキーワードに人間と技術の新しい関係(技術と感性の融合)や、大学における教育・研究のありかたを探求して…